サイトマップ | 個人情報について | お問い合せ

オンラインゲームにて一方的にアカウント停止措置をされた場合 (ECOMネットショッピング紛争相談室)

当相談室には、インターネット上のサービスのひとつであるオンラインゲームにおいて、突然、ゲーム運営側よりアカウントの停止措置をされて、ゲーム上で育てていたキャラクターを使用できなくなった、というご相談が多く寄せられます。
多くは、その理由を利用規約に違反した不正プログラムの使用によるものとされていますが、中にはユーザ側において全く身に覚えがない状態のまま、アカウントの停止措置をとられたと思われるケースもあります。

その場合、ユーザはアカウントの復活を希望する場合が多いのですが、ゲーム運営側に問い合わせても、納得のいくような回答を得られないまま時間が過ぎてしまうといったトラブルになります。

そういった場合、ゲーム運営側に対し、法的にどういった対処方法が考えられるかについて検討してみました。

1 違反行為がない場合のアカウント停止の効力
まず、サービスを受けているゲームの運営側より、利用規約に違反するような行為を行っているという理由により一方的にアカウントの停止措置を受けた場合、実は違反行為が存在しないようであれば、そのアカウント停止措置は法的に無効です。

ユーザの義務違反が認められて、初めてアカウント停止措置が出来ると考えられます。また、裁判においては、ユーザの義務違反を立証する責任は、ゲーム運営側にあります。

そして、ゲーム運営側がアカウント停止措置の理由となったユーザの義務違反行為の立証が出来ない場合は、訴訟において「アカウント停止措置は無効であり引き続きサービスを提供せよ」といった判決を取ることが可能となります。

2 停止前の状態に戻させることができるか
「引き続きサービスを提供せよ」との判決がとれる場合、もう一度ゲームを利用できるようになるわけですが、その際、武器や強さなどを元の状態に戻せということができるでしょうか。この点ははっきりしませんが、技術的に可能であれば、そのような主張をして判決をとることも可能ではないかと考えます。

3 損害賠償請求ができるか
理由が無いのにアカウントを停止措置したのであれば、債務不履行として損害が発生していれば損害賠償請求が可能です。
ゲーム運営側が、アカウント停止時点の設定に回復することが不可能な場合は、その分を損害として損害賠償請求の対象にすることも考えられます。

もっとも、例えば使用していたキャラクターやアイテム、通貨等に関しては、そのゲーム内のサービスのひとつと考えられますので、これを独立させて経済的価値があるものと認めて損害の根拠とすることは困難です。

4 規約に「理由がなくとも運営側が一方的に停止できる」と規定されていたらどうか
ゲーム運営側による一方的なアカウント停止を認定できるという規定は、消費者契約法で不当条項であるとして無効を主張することができると考えられます。

5 運営側には停止の際に停止の理由をユーザに説明する義務があるか
必ずしもユーザに対し説明義務があるとまではいえません。

さて、訴訟に関しては、どうしても訴訟費用の問題が発生しますが、お時間があれば本人訴訟を行うこともひとつです。
今後、こういった訴訟がおこることで、ゲーム運営側の態度が変わってくるかもしれません。